日本全国の夫婦の50%以上が不妊の心配をしたことがあり、実際に治療を受けたことがある夫婦は、なんと30%に届きそうな勢い。男女ともに「不妊治療」に関心が高まり、積極的に生殖機能を検査するカップルも増えてきました。

たくさんの検査項目がある中、主に血液検査で判明する【高プロラクチン血症】知っていますか?

不妊治療の現場では”不妊原因の代表格”とも言われるほど有名で、自覚症状のないままこの病気を抱えている方も少なくないようです。
自分の身体に身に覚えのある症状はないか、考えながらお付き合いください。

プロラクチンの正体

“プロラクチン”とは脳の下垂体から分泌されるホルモン。催乳ホルモンや乳汁分泌ホルモンとも呼ばれ、産後に大活躍してくれるホルモンのひとつなのです。妊娠の進行に伴って分泌量がじわじわと上昇。乳腺がどんどん発達するよう働きかけ授乳の準備を整えます。出産後にプロラクチンの分泌はピークを迎え、【乳汁=母乳】を作るよう脳から指令が送られ、赤ちゃんへと母乳が届くという素晴らしいシステム。
プロラクチンは母子を繋ぐ、大切な働きをしているホルモンなのです。

実際に母乳が作り出されるメカニズムは、赤ちゃんに乳首を刺激されるとプロラクチンが大量分泌され、母乳が出るという仕組み。1日数回から数十回、授乳の度に脳から信号が送られ、母乳を作り出しています。
産後しばらくの間、母体はゆっくりと回復していきますが、すぐに次の妊娠をしてしまうのはダメージ大です。さらに授乳による乳首への刺激は子宮を収縮させてしまうため、授乳期の妊娠は流産の危険が伴います。新生児~離乳食がはじまるまでの時期は授乳の回数も1日数回~十数回と多く、母体への負担が大きい時期です。

そこでプロラクチンがもうひとつの大切な役割を果たします。“排卵の制御”です。このホルモンが分泌されることで排卵が抑えられ、授乳期に妊娠しにくいように身体をコントロール。出産後しばらく月経が止まるのもこの働きによるものです。
このように“プロラクチン”は、授乳期の女性に欠かせない役割を担っています。

なんらかの要因で妊娠中・授乳中じゃないのに血中のプロラクチン値が高くなってしまうと、【高プロラクチン血症】と診断され治療が必要に。
プロラクチンの主な役割は「産後の母乳を作りだすこと」「産後の女性の排卵を抑えること」。つまり妊娠を望む女性とは正反対の働きをしてしまうホルモンなのです。
血中のプロラクチンの数値が高いと“排卵障害”“無月経”を引き起こしてしまい、妊娠しにくい状態になってしまいます。

参考:日産婦誌61巻12号
http://www.jsog.or.jp/PDF/61/6112-632.pdf
参考:みむろウィメンズクリニック
http://mimuro-cl.com/prolactin.html

高プロラクチン血症の症状は?

一番多い症状は排卵月経に関するトラブルです。
“無排卵”・“月経不順”・“無月経”・“稀発月経”・“不正出血”と、女性の生殖機能が低下している状態。基礎体温が2層にならず、黄体機能不全の症状と似ています。
無月経だと気付きやすいですが、無排卵の場合は定期的に月経のような出血があるので、基礎体温を付けていない限り気付くのが難しく、自覚症状は無いに等しい状態。
妊娠を望んで婦人科を受診した際に、はじめて指摘されて驚く人も多いようです。

プロラクチンの数値が高い状態が続くと、骨粗鬆症の要因にもなってします。

次に多いのが乳汁分泌。妊娠・出産していないのに母乳のような透明~白っぽい乳汁が分泌される症状です。胸が張る感じがしたり、お風呂で温まった時や胸部を強く圧迫した時に乳汁が分泌されてしまいます。

腫瘍が原因の高プロラクチン血症の場合、腫瘍が大きくなると視神経を圧迫する可能性があり、視野が狭くなる・視野の一部が欠ける・視力が下がる、などの症状が出ることも。

あまり知られていませんが、男性の生殖機能にも大きく関わっており、EDの原因のひとつでもあります。

参考:昭和大学医学部
http://www.jsog.or.jp/PDF/51/5106-155.pdf
参考:ASUKAレディースクリニック
http://aska-cl.com/complication/complication10.html

高プロラクチン血症の原因・治療法は?

①薬剤による高プロラクチン血症

原因としてもっとも多いのはによる影響です。
ドパミンへの作用や、セロトニン分泌を刺激する薬(抗精神病薬・睡眠薬・胃腸薬)などでプロラクチンの分泌を増加させてしまい、血中濃度が高まってしまうことがあります。

副作用の“出やすい・出にくい”も薬により差があるようなので、妊娠を望んでいる期間は薬の処方の際にドクターへ確認すると安心ですね。
治療法は、原因となった薬をストップしてプロラクチンの数値を観察。服用をやめても数値が下がらない場合や、他の病気の理由により内服を中止できない場合はプロラクチンの数値を低下させる効果のある薬を服用し、経過を観察します。

参考:元住吉こころみクリニック
http://cocoromi-cl.jp/about/major-tranquilizer

②脳の下垂体腫瘍

腫瘍(できもの)が原因で高プロラクチン血症になってしまう例も多く、全体の1/3ほど。
月経異常の女性に多いのは“下垂体腺腫”で、ほとんどが“良性のおとなしい腫瘍”です。 
特定のホルモンを過剰生産してしまう腫瘍ができてしまうと、高プロラクチン血症を発症してしまいます。20代女性に多く見られる腫瘍です。腫瘍の大きさにより治療方法も変わりますが、多くの場合薬で腫瘍を小さくしていくことができます。
下垂体腫瘍の場所やサイズによっては手術をすることもありますが、“内視鏡を用いて鼻から”などと、身体の負担を最小限にとどめる工夫がされ、入院も短期間で済む場合が多いです。

参考:日本内科学会雑誌第103巻第4号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/103/4/103_841/_pdf
参考:鹿児島大学大学院
http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~ns/page5_link12.html

③内分泌疾患

年齢に関係なく突然発症する“突発性高プロラクチン血症”は自覚症状もさまざま。
10代~20代の女性は月経不順を年齢のせいで安定していないと思い込んだり、妊娠を意識していない場合が多く婦人科に受診する機会も少ないため、知らないまま過ごしている人も少なくありません。
内分泌疾患から高プロラクチン血症になる原因は、残念なことにほとんどが解明されておらず、ストレスが大きく関わっているのではないか、と今もなお解明中です。

その他、流産・早産後にプロラクチン値が異常に上がってしまうことや、甲状腺機能低下症(橋本病)に伴って発症してしまうケースもあります。

薬剤・下垂体の腫瘍・内分泌…発症の原因は違えど、基本的に服薬での治療です。
有効な薬もいくつか種類があり、「カバサール・テルロン・パロデール」などの薬剤が主流。毎日服用するタイプ、数日に1回というスタイルで服薬するタイプがあり、数カ月間経過を観察していきます。効果が高くとても実績のある薬ですが、吐き気やめまい、便秘などの副作用もあるので、体調と血液検査の様子を細かく見ていく必要があるようです。

すぐに妊娠を望まないのであれば、低用量ピルでホルモンバランスを整えて行く治療法もあります。
どうしても薬が合わない場合、漢方(炒麦芽など)の力を借りて、ゆっくりゆっくりと治す方法もあるので、ドクターとしっかり話しながら治療を進めていくべきですね。

参考:日産婦誌61巻1号研修コーナー
http://www.jsog.or.jp/PDF/61/6101-015.pdf
参考:産婦人科クリニック さくら
http://cl-sacra.seesaa.net/article/162980493.html
参考:ゆかりレディースクリニック
https://goo.gl/VVw1bq

高プロラクチン血症と多嚢胞性卵巣症候群の関係

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断される10~30%くらいの方が、高プロラクチン血症を併発していると言われています。どちらもホルモンの異常で起こる病症なので、妊娠を望む場合キチンと調べて治療していく必要があるのです。

プロラクチンの血中濃度が上昇していると、排卵誘発剤の効果が減弱してしまい卵胞発育がうまくいかないことも。

排卵が起こっていないのに数値は問題ない。そんな時に浮上するのが「潜在性高プロラクチン血症」の可能性です。
プロラクチンは夜間に分泌量が高まるため、日中の数値は正常でも夜間のみ異常高値を示していると、「潜在性高プロラクチン血症」と診断されます。

参考:春木レディースクリニック
http://www.haruki-cl.com/pcos/
参考:諏訪マタニティークリニック
http://e-smc.jp/reproduction/about/caused-disease/pcos.php

心構えと“知る準備”をしておきましょう

いざ妊活、と動き出して婦人科の門をくぐったはいいけれど、病院のシナリオにしたがって検査を次々にこなし、結果により治療方針が決められていき…心は置いてけぼり。
質問したいことがありすぎて、なにから聞けばいいのか動揺してしまいがちです。

医学用語や疾患名も、聞きなれないものばかりだと過度な不安で落ち込んでしまうかもしれませんね。
そうならないためにも”女性の身体のこと”、たくさん知る準備をしてドンと構えましょう。
妊活の大きな柱は【ホルモン】です。

ホルモンに関わるエトセトラを学び、効率のいい妊活に役立てていきましょう。

次の記事は、どんな検査で“高プロラクチン血症”ってわかるの?
もし診断されたら、妊娠できるの?
診断されたときにはどのような治療を行うの?
そんな疑問にお答えします。
「高プロラクチン血症でも妊娠はできる! 検査や治療、身体づくりまで」

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