バセドウ病について深く掘り下げてきましたが、今回はまだまだ認知度の低い、男性のバセドウ病について考えてみます。

バセドウ病は女性の病気と思っている方が多いですが、約4:1の割合で男性も発症しています。女性で200~300人に1人といわれていますので、男性では1000人~1500人に1人程。これは診断を受けた人の割合で、甲状腺の病気は女性特有だと思い込み、体調不良を抱えつつも詳しい検査を受けていない男性は数多く潜伏しているかもしれません。
発症が多い年齢層は女性と同じで30代。甲状腺ホルモンの分泌異常が原因の場合が多いので、“ホルモン”のイメージからも女性を連想しやすいため、とくに敬遠されがちなのではないでしょうか。

男性のバセドウ病は諸症状だけでなく、男性不妊の原因となる性機能不全を引き起こしてしまうこともあります。家族に甲状腺病歴のある男性はとくに要注意。男性の甲状腺は女性に比べて低い位置にあり、鎖骨と重なってしまうため腫れていても発見が遅れることがあります。甲状腺は健康診断の検査項目に含まれないことが多いので、思い当たる症状があれば受診して検査してみましょう。

参考:岡本甲状腺クリニック
http://www.thyroid.jp/pdf/3-a.pdf

どんな症状?

自覚しやすい症状は、脈拍数増加・動悸・体重減少・発汗・眼球突出などですが、男性特有の症状として朝起きた時に手足、とくに足が動かない“四肢脱力”があります。夕食後(とくに過食した場合)麻痺がはじまる、“周期性四肢麻痺”は日本をはじめとする東洋人の男性に多くみられる症状です。飲酒や食事、甘い物の摂取でカリウムが減少し、直後から翌朝にかけて急に脱力してしまい、腰が抜けたように動けなくなることも。
バセドウ病とカリウム現象の関係性はまだ証明されていませんが、治療でホルモン濃度が正常値になれば治まります。

参考:日本医科大学
http://www2.nms.ac.jp/nms/surgery2/sinryo/data/kaisetsu.pdf
参考:長崎甲状腺クリニック
https://www.nagasaki-clinic.com/na/

性行為・生殖機能・に与える影響


甲状腺疾患男性不妊の関係性も明らかになりはじめ、甲状腺ホルモンの分泌に異常があると男性の生殖機能に影響を及ぼすこともわかってきました。
具体的にどのような症状が出るのでしょうか。

精子数の減少・運動量低下

バセドウ病の男性では、精子数の減少精子の運動低下がみられることがあります。
男性ホルモンであるテストステロンは筋肉の増大・闘争本能促進・体毛増加など、心身の男性的な部分に作用するホルモンです。このホルモンが減少してしまうと、精子に影響がでてしまうようです。

ED(勃起不全)

満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態。陰茎海綿体の動脈が広がらないため、十分な血液が送られないことが原因です。甲状腺ホルモンとEDとの明確な関連性は解明されていませんが、血流やテストステロンの低下勃起不全には深い関りがあると言われています。ホルモンバランスの乱れが招く心因性のEDも考えられます。

性欲減退(インポテンツ)

インポテンツとは、勃起・性欲・射精いずれか一つ以上を欠いていること。
テストステロンの減少が原因で起こり、一時的なものを含めると男性の約80%が経験したことがある症状です。バセドウ病は精神的な影響も大きい疾患のため、不安定な精神状態により性欲の低下を招くことがあります。

乳房肥大(女性化乳房)

テストステロン減少が強いと乳房肥大といって、おっぱいが膨らんでくる症状。

参考:長崎甲状腺クリニック
https://www.nagasaki-clinic.com/na/
参考:新宿Life Clinic
http://www.life-cl.com/paper/topic051.html

治療と寛解

治療も女性と同じで、手術アイソトープ治療投薬治療の中から合ったものを選択し、寛解を目指します。

男性の甲状腺疾患は腫瘍(しこり)が原因の割合が高く、その場合は手術が選択されます。投薬治療はメルカゾールまたはチウラジール・プロパジールを処方され、数週間毎に血液検査をしながら薬の量を調整していく治療です。

なかには夫婦で甲状腺疾患を乗り越えて、新しい命を授かったというケースもあり、バセドウ病が必ずしも不妊に直結するわけではないのです。

発見が早ければすぐに治療に取り掛かれますので、症状に心当たりがある方はまずはドクターに相談してみましょう。

薬を飲みながらの妊活も可能。甲状腺の数値が標準に近づくとともに諸症状も改善され、精子量なども戻る場合が多いので、早期発見早期治療を心掛けたいですね。

参考:岡本甲状腺クリニック
http://www.thyroid.jp/qanda/basedow-qa/comment-page-39

ストレスとバセドウ病

男性は女性よりはるかにストレスを感じやすく耐性も弱いそうです。
家庭を守る重圧・仕事の責任・本能的に人より優位に立ちたいという気持ちが自分を苦しめることも。定時に帰れる仕事ばかりではないのが現状で、仕事やプライベートでの人間関係も時にはストレスに感じるかもしれません。気持ちを言葉で表すのも苦手な男性が多く、常にストレスと隣り合わせの生活を送っている方もたくさんです。そのストレスが引き金となり、さまざまな疾患を招いてしまうことになりかねません。バセドウ病をはじめとする甲状腺疾患も、ストレスが原因なのでは…と研究が進んでいます。一昔前の日本や世界の政治家のトップもバセドウ病を患っていたということからも、ストレスとの因果関係は信憑性が増しますね。

参考:田尻クリニック
https://www.j-tajiri.or.jp/book/c/c08/

タバコ(喫煙)とバセドウ病

バセドウ病の症状のひとつに眼球突出があります。眼の筋肉や脂肪に炎症が起こり、眼球が突出したりまぶたが腫れたりする、特徴的な変化です。

バセドウ病の原因はまだ解明の途中ですが、タバコを吸っていると発症リスクが約3倍に高まることがわかっています。喫煙者のバセドウ病患者で、眼球突出などの症状が出る割合は非喫煙者に比べ、4倍以上とも。タバコとバセドウ病の因果関係は証明されていませんが、何倍にも膨れ上がると聞くと禁煙をすすめたくなりますね。禁煙することでリスクを軽減できるので、バセドウ病の治療とともに禁煙に挑んでみましょう。

参考:ファイザー製薬
http://sugu-kinen.jp/harm/disease/basedow.html

最後に・・・

バセドウ病は治療すれば寛解が目指せる疾患です。女性も男性も家事や仕事、人間関係でストレスを抱える日々。知らず知らずの間に身体に変調をきたしていても、疲れかな?風邪かな?と軽く考え、しっかりとした検査をせずにその場を凌いでいるのではないでしょうか。

バセドウ病は疑って検査をしてはじめて発見できる病気です。とくに男性の場合症例が少なく認知度も低いため、ツライ症状を抱えつつも見逃されがちです。
信頼できるかかりつけ医を見つけておくことも大切ですが、まずは自分の体調や変化に敏感であること。「これくらいなら大丈夫」ではなく、いつもと違う症状が起こったら記録しておき診察の際に質問してみるなど、身体からのサインを受け取るよう心がけましょう。

これまでに紹介したバセドウ病に関する記事はこちら。
「バセドウ病=(甲状腺機能亢進症)と妊娠」
「バセドウ病の様々な症状」‎
「バセドウ病の治療」
「バセドウ病と薬」

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