橋本病コラム第2弾は、気になる症状について。

バセドウ病に比べ静かな症状が多いため、見過ごしてしまったり他の病気と間違ってしまったりすることが多く、発見が遅れる方もしばしば。私も現在橋本病の投薬治療中ですが、振り返ってみても受診する程の症状はありませんでした。検査結果を踏まえたドクターの説明を聞いてはじめて、これらの症状は橋本病のせいだったのか…と振り返ったくらいです。

女性には月経周期がありますし、学校・仕事・妊活・妊娠・出産・子育て・更年期などを絡めると万全な体調は月のうち半分といったところではないでしょうか? 疲れ=病気とは考えませんよね。とはいえツライ症状を我慢して過ごすのは大変です。原因である甲状腺の疾患が判明し、適切なホルモンを補えばすぐに改善が望めます。

自分をはじめとする家族や友人の変化にも気づけるように、橋本病のサインを学んでおきましょう。

眠気・倦怠感

毎日睡眠をとっているのに、ふと襲ってくる眠気。とくに何をしたわけでもないのにだるくて重い身体。動くのがおっくうで一度座るとなかなか立ち上がれない。動作や口調がゆっくりになった。肩こりが酷く治らない。
こんな症状が出ても“疲れがたまっているのかな”と思ってしまいますよね。とくに強い眠気は特徴的な症状のひとつです。
思うように動けないことに罪悪感を抱いてしまいそうですが、甲状腺ホルモンによる体力・筋力の低下が原因で起こる症状です。

体重増加・食欲低下・むくみ・便秘

食べる量は増えていないのに増加していく体重…女性にとって一番ツライ症状ではないでしょうか。加齢に伴い代謝が落ちるのは覚悟していても、食欲が落ちるのに体重が増えるのは恐怖でしかないですよね。橋本病になるとカロリー消費のスピードが落ちてしまうので、食べる量が少なくても蓄えやすくなってしまいます。

加えてむくみ便秘も起こりやすく、悩みは上乗せされます。朝起きた時に上瞼や顔全体・手にむくみを感じやすく、口や喉の粘膜までむくみが広がるとうまく喋れなくなることも。

体重増加やむくみ、便秘…甲状腺の影響だなんて想像もせず、必死で解決策探しにもがいてしまうことでしょう。新陳代謝の大切さを痛感する症状のひとつですね。

寒がり・低体温

異常な寒がりで普段から体温が低いのも特徴です。汗をかきにくいので夏の暑さに強い方が多いようです。しかし冷房は苦手で、夏でも手足が冷えるなどの症状を抱えている場合も。
冷えに悩む女性も多いので、まさか甲状腺との関りがあるとは驚きです。異常な寒がりで外出がツライという状態は橋本病のサインかもしれません。

鬱・自律神経・不眠

よく間違われるのが“鬱(うつ)病”です。うつは精神のエネルギー低下が一定のレベルを超えた状態のことですが、そのレベルの判断は素人には難しいですよね。

人に会いたくない・とにかく落ち込み塞ぎ込む・眠れない、そんな状況になってまず受診を考えるのは心療内科・精神科でしょう。ようやく立ち上がって相談した精神科のドクターが甲状腺の病気を疑ってくれればいいのですが、症状から察するに鬱病と診断されてしまうこともあります。根本の原因が違うために、鬱病の治療しても改善が見られません。

年齢によっては更年期障害と決めつけてしまうこともあり、甲状腺の検査をしない限りその判断は難しいのです。
甲状腺ホルモンの減少で精神に影響を及ぼすということは、身体と心が繋がっている証、ひとりで悩まず正しい治療を進めましょう。

無気力・物忘れ

倦怠感気持ちの落ち込みに加え、やる気すら出なくなってしまうかもしれません。物忘れが酷くなって仕事や家事の効率が落ちてしまったり、着替えやお化粧が面倒に感じて出不精になってしまったりと、従来の生活を送ることが困難に思えてしまう状態です。

肌の乾燥・かゆみ・脱毛

新陳代謝のスピードが落ちるので、皮膚は乾燥しいつもカサカサ。年間を通して汗も少ないので、乾燥による慢性的なかゆみも。頭皮も乾燥して固くなってしまい、抜け毛が増えてしまいます。眉尻か薄くなるのも特徴のひとつです。

首や喉の腫れ・異物感

橋本病の症状の中でもっとも顕著な症状。甲状腺が腫れて硬くなるので、首全体が腫れる・一部が腫れるなど見た目や触ってわかる変化です。
腫れが大きい場合飲み込む時に違和感を覚えることもあります。

声が枯れる・声が低くなる

甲状腺の腫れにより、声が出にくくなったり声がかすれたり(嗄声)してしまう。甲状腺の働きは正常でも、腫れによって声だけに症状が出る方も。喉の異常なので耳鼻咽喉科を受診して、甲状腺の疾患に気付くことができたという例もあります。

高血圧・貧血

血の流れが悪くなり、高血圧になってしまう。妊娠高血圧症候群はとくに注意が必要なので、妊娠前からの対策が必要。新陳代謝の弱まりで造血のスピードも衰え、月経時・妊娠中はとくに貧血になりやすい。

コレステロール上昇・肝機能

甲状腺ホルモンの分泌が減少すると、コレステロールや肝臓の数値にも異常がでることがあります。これも甲状腺との関係性を知らなければ違う疾患を疑ってしまうことになりかねませんね。

徐脈

甲状腺ホルモンは心臓の動きを活発にする役割もあります。橋本病は甲状腺ホルモンが慢性的に不足している状態のため、脈がゆっくりと遅くなってしまいます。

月経不順

ホルモンバランスが整わないため、月経周期が乱れる経血が増える・何日も生理が終わらないなどの症状を引き起こす。不妊の原因にもなりえるので早い改善が必要です。

不育症・流産

流産を3回以上繰り返す“習慣性流産”と診断されると不育症の検査をします。妊娠できても育たない原因を調べるための検査で、甲状腺の検査も含まれています。橋本病をはじめとする甲状腺疾患を抱えていると流産の確立30%以上と高まってしまうので、心身ともに大ダメージを受けてしまうことになるかもしれません。

妊娠後に橋本病と診断された場合は、通常より多い量の甲状腺ホルモンを補う必要があります。胎児の成長に甲状腺ホルモンは必要不可欠なのです。
流産経験がなくても、不妊治療に励んでいる女性の10%を超える割合に甲状腺の異常があるともいわれています。
妊活に取り組むにあたり、もし甲状腺に異常がある場合は一番に治療すべき疾患なのかもしれません。

   

橋本病(=慢性甲状腺炎)の症状をまとめてみました。
ほとんどが病気の症状とは思えないですよね。
家事や育児、仕事に女子会。毎日時間に追われていると気になる症状があっても「これくらいなら」「すぐ落ち着くよね」「疲れのせいかな」と病院に行くことなく過ごしてしまいがちです。たしかに眠気や寒がりで受診とは、現実的ではないですよね。

橋本病について知ることで、自分や大切な誰かの病気に気付けたかもしれません。今は思い当たる節がなくても、年齢や出産、蓄積したストレスが引き金となり発症してしまう可能性はすべての女性にあり得ることです。

橋本病は治療すれば改善できる病気です。発見が遅れてツラい症状を抱え続けることは何としても回避したいですね。疾患を恐れて縮こまるのではなく、正しい知識を蓄えておきましょう。

参考文献:やさしく解説甲状腺疾患の診断と治療
著 者 窪田 純久
発行者 小立 鉦彦
発行所 株式会社 南江堂
2016年9月15日発行
参考:京都医療センター
https://goo.gl/9Ju3sq
参考:伊藤病院
https://goo.gl/WaA2Y5
参考:佐久平エンゼルクリニック
https://www.sakudaira-angel-clinic.jp/blog/infertility/1964/

次のコラムでは橋本病の検査について詳しくみてみましょう。
「橋本病って何科を受診するべき? 内科? 婦人科?」

橋本病の第1弾コラム「橋本病(=慢性甲状腺炎)と妊娠」はこちら。
「橋本病(=慢性甲状腺炎)と妊娠」

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