首の腫れや長引く倦怠感家族に甲状腺疾患が見つかったなど、もしかして私も…と検査を望んだ場合どういう病院の何科を受診すればいいのでしょうか。

一番適しているのは【内分泌代謝内科】というホルモンの病気や糖尿病などを主に診察している科です。その名の通り“内分泌”や“代謝”の異常をはじめ、ホルモンをつくる臓器の病気やホルモンの異常をきたす疾患などを専門に診ています。
甲状腺疾患に詳しいドクターの診察を受けることができますので、疾患の詳細な説明はもちろんのこと、気になる症状から日常生活の細かい悩みまで的確な答えがもらえます。
病院によっては内分泌科や、糖尿病センターなどの名称もあるようです。
専門クリニックや大学病院、総合病院などに多く、内分泌の専門医として約2100名の医師が全国で診察にあたっています。

近くに内分泌専門の病院がない時は一般内科や婦人科、耳鼻咽喉科にて診察・検査が可能です。
さらに詳しい検査が必要な際は紹介状を書いてもらえますので、気になる症状がある方はまず相談へ行きましょう。

参考:多摩総合医療センター
http://www.fuchu-hp.fuchu.tokyo.jp/about/department/endocrine/

橋本病はどんな検査をするの?

一般的な受診の流れは【問診→内診→血液検査→エコー検査→診断】という感じです。
病院によってさまざまですが、総合病院などの大きな施設では血液検査の結果が1時間ほどで判明しますので、当日に診断までたどり着けることもあります。
それぞれどんな検査をするのか、具体的に見てみましょう。

【問診・触診】

カルテ作成の為に自分の情報や症状を記入。家族歴などのより詳しい話を診察前に看護師さんとカウンセリングするクリニックもあります。いつごろからどんな変化を感じているか、メモを持参するといいですね。診察室にてドクターに気になる症状を説明し、首の腫れしこり触診にて確認後、次の検査へ。

【血液検査】

腕より採血して甲状腺ホルモン・甲状腺刺激ホルモンの量や自己抗体の有無を調べます。
検査では数種類のホルモンや自己抗体の状態を数値で表し、橋本病の診断に用いるのです。

・甲状腺ホルモン・・・FT3(T3)・FT4(T4)の低下
・甲状腺刺激ホルモン・・・TSHの増加
・抗サイログロブリン(抗Tg抗体)・抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)の有無

血液検査当日も、病院からの指示か無い限り普段通りの食事を摂ってかまいません。検査施設次第ですが1時間ほどで血液検査の結果がわかります。

【エコー検査】

超音波検査にて首全体の甲状腺の形や大きさ、シコリの有無と血流を詳しくチェック。首に少しひんやりするジェルを塗布して、エコーのプローブをゆっくりと動かしながら画像を診断していく検査です。痛みはありませんので、できるだけリラックスして臨みましょう。
すべての検査が終わるとドクターによる診断が下り、必要であれば処方箋を受け取り終了です。今後の生活で気をつけるべきことなどしっかりと説明を聞きましょう。

橋本病と診断され投薬治療がはじまった場合は、数週間後に次回の診察予約をします。おおよその費用は(初診)6,000円前後(再診)3,000円前後です。来院頻度は経過を見ながら少しずつ間隔を広げていきます。

参考:森末クリニック
https://www.morisue-clinic.com/icyounaika/kouzyousen/hashimoto

TSHってなに?数値の見方と診断基準

TSH甲状腺刺激ホルモンのこと。甲状腺疾患の血液検査をする際にTSHの値も調べます。
甲状腺ホルモンが不足していると脳の下垂体が甲状腺刺激ホルモンを分泌し、甲状腺ホルモンを増やすように指令を出します。橋本病の場合指令がきても甲状腺ホルモンを作ることができないため、下垂体はTSHを分泌し続けてしまい、血中のTSHの値が高くなるのです。

血液検査では【FT3・FT4】の値も調べます。2種類の甲状腺ホルモンで、これらの値が低いと甲状腺機能低下症の診断となります。
それぞれのホルモンに基準値がありますので、治療で正常の範囲内を目指すことで身体にも嬉しい変化がでてくるのです。

一般的な健康診断では検査項目に含まれておらず、甲状腺疾患を疑って検査をしなければわからない異常であるため、聞き覚えのない言葉が並びます。
検査後のドクターの説明も一度で理解するのは難しく、全体のメカニズムを把握するためには身体の複雑な仕組みを理解しなければなりません。治療していく中でホルモンの働きや役割をゆっくりと理解していくようにするといいですね。

参考:KUMA HOSPITAL
http://www.kuma-h.or.jp/examination/126/

自己抗体の陰性・陽性

橋本病の場合、抗サイログロブリン抗体(抗Tg抗体)・抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)の両方またはどちらかが陽性を示します。
サイログロブリン(Tg)とは甲状腺の中で大量に生産されて貯蔵されているホルモンの元になる物質。それを攻撃してしまうのが抗Tg抗体
TPOとは甲状腺で作られるペルオキシダーゼという酵素。それを攻撃してしまうのがTPO抗体
2種類の抗体は自分の甲状腺を破壊してしまう【自己免疫抗体】です。血液検査で検出されると橋本病の診断が確定します。

自己免疫疾患とはウイルスや菌などの異物を排除するための役割をもつ免疫系が、自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応し攻撃を加えてしまうこと。残念なことに壊されてしまった細胞を元に戻すことはできません。
なぜ正常な細胞を攻撃してしまうのかも解明されておらず根本的に治癒しない為、不足している甲状腺ホルモンを補充していくことで元気を保っていきます。

参考:日本甲状腺学会
http://www.japanthyroid.jp/doctor/guideline/japanese.html

診断後も慌てずに

病名を告げられると得体の知れない不安に襲われてしまいます。自己免疫疾患・完治しない・遺伝かも…など、とても大変な病気なのではとネガティブ思考に陥りがちです。
甲状腺ホルモン異常は決してめずらしい疾患ではありません。欧米では症状がなくても5年ごとの甲状腺ホルモン血液検査が推奨されているほど。
元気がでない・疲れやすい・気持ちが落ち込みやすいといった症状が続くことがあり、うつ病更年期障害と思い込んでしまう方も多く、まだまだ認知度どが低いのが現状です。

正しい知識と検査を広めていくことができれば、疾患を抱えた人もその周りの人も不安を和らげることができるのではないでしょうか。
甲状腺の異常に気付くことができればすぐに治療をはじめられます。治療すれば数値も体調も正常に近づけることが可能です。
次のコラムでは橋本病の治療について詳しく触れていきます。

第1弾コラム「橋本病(=慢性甲状腺炎)と妊娠」はこちら。
「橋本病(=慢性甲状腺炎)と妊娠」
第2弾コラム「橋本病の症状」はこちら。
「橋本病の症状」

  • マカサプリ
  • 葉酸サプリ

人気の記事