診察・血液検査・エコー検査にて橋本病の診断が下ると、どんな治療が必要になるのでしょうか。橋本病(=慢性甲状腺炎)と判明しても、大半の人は甲状腺の腫れが小さく甲状腺機能も正常なので治療の必要はありません。“潜在性甲状腺機能低下症”と呼ばれる病態で、甲状腺ホルモンが不足していないか数か月~1年に1回の血液検査をしながら経過観察を続けます。

すぐに治療が必要なのは、甲状腺が大きく腫れているのどに違和感がある甲状腺機能が低下している場合です。甲状腺機能が低下している時は、不足している甲状腺ホルモンを薬で補充。甲状腺の腫れが大きく気管を圧迫していると手術を選択することもあります。

甲状腺ホルモン剤は少量からスタートし、数週間毎に血液検査を繰り返しその人の身体に合った量を決めていきます。ゆっくりと量を増やしていくうちに体調が改善し、数値も正常値に近づいてくるので、通院の度に元気になるのを感じることができるはずです。

とくにこれから妊娠出産を望む女性は、よりしっかりとした管理が必要です。胎児の成長に甲状腺ホルモンは必要不可欠。
妊娠前や妊娠中の甲状腺機能の目標値が定められており、妊娠前~妊娠初期は(13週まで)TSH<2.5μU/ml・妊娠中期は(14週~)TSH<3.0μU/ml。不育症流産早産を防ぐためにしっかりと甲状腺ホルモンを補っていきます。
ドクターに妊娠を希望している旨を伝え、治療中に妊娠の可能性が分かったらすぐに受診して薬の量を調節してもらいましょう。

参考:金地病院
http://www.kanaji.jp/hashimotobyou_2/

完治できる? 橋本病の治療期間

甲状腺疾患は自己免疫疾患のため完治は難しく【寛解…病状が治まり穏やかな状態】を目指して治療します。
風邪などの短期間で完治する病気とは違い、長い期間を経て寛解を保てるように薬で調節します。体調がよくなったからと自己判断で服用を中止するとすぐに元に戻ってしまいますので、通院・検査をしながら毎日決められた量を必ず服用しましょう。

治療期間についても数か月で症状の改善がみられる場合が多いですが、薬をどれくらい飲み続けるかは個人差が大きく一概には言えません。
症状が落ち着き服薬をお休みする方も、終生飲み続ける方もいますし、年齢や妊娠を望んでいるかも治療方針に大きく関わってきます。

参考:久喜江面クリニック
http://www.kukiedura-cl.com/original4.html

薬の種類・量・効果

橋本病の治療に用いられるのは、甲状腺ホルモンを化学的に合成したT4製剤と呼ばれる薬です。レボチロキシンナトリウム【薬品名:チラーヂンS】という薬を服用します。T4とは人間の体内に自然に存在する生体物質で、甲状腺ホルモンと同じ物質です。そのため正しく服用すれば副作用なく飲むことができると言われています。
妊活妊娠授乳中の服薬も問題ありません。母体にも胎児にも必要不可欠なホルモンですので、きちんと補います。
薬は少量ずつからスタートし、数週間毎に血液検査をしながら適量を見極めていく方法です。身体にぴったりの量が決まればある程度まとまった期間の処方が可能になり、通院回数も減ります。数か月から1年毎に甲状腺ホルモンの補充量が合っているかどうか、確認のための血液検査は必要です。

1日1回服用。最近の研究で食後よりも空腹時の方が吸収率が高いと分かってきました。加えて食事の影響で薬の吸収率を下げないために、朝食の30分~60分前、または就寝前が推奨されています。野菜ジュースなどの繊維が多い飲み物や豆乳・牛乳などは避け、水か白湯で飲むようにしましょう。ナノミリグラム単位の極々微量なホルモン剤ですが、飲み忘れなく続けることが大切です。毎日同じ時間に服用するなど、生活の一部として習慣づけるといいですね。

適切な量を服用することで血中の甲状腺ホルモンを安定させることができるため、飲み始めて数週間~数か月で諸症状が改善されます。体調がよくなったからと自己判断で服用を辞めてはいけません。安定した甲状腺ホルモンの補充で、身体が本来持っている機能が正しく働くのです。

参考:KUMA HOSPITAL
http://www.kuma-h.or.jp/disease/158/

効かない? 飲まない? 一生続けるの!?

チラーヂンSの効果はすぐに表れません。とくに治療をスタートしてすぐは薬も少量のため、何も変わらないと感じる方がほとんどです。しかし適量のT4を判断するためには、必ず毎日飲み続ける必要があります。次の血液検査までの間、体調が変わらなくてもキチンと飲み続けてください。薬の服用がいつまで必要かも一概には言えません。年齢や妊娠・出産のきっかけで服用が必要なくなる方もいますし、生涯服用を続ける方もいます。
薬というと抵抗を感じてしまうかもしれませんが、体内で作られる甲状腺ホルモンと同じ物質を補うものですので、元気を保つために必要な成分です。気長に服用を続けましょう。

まずは習慣にすること。慣れないうちはメモを見えるところに貼ったりアラームをかけたりして、飲み忘れを防止したいものです。
万が一飲み忘れた場合内も慌てなくて大丈夫です。服した甲状腺ホルモン剤は1週間以上かかってゆっくり血液中からなくなっていきますので、2~3日内服が抜けてもTSH(甲状腺刺激ホルモンの値)が大きく変動することはありません。気付いた時に一気に増やしたりせず、毎日の服用を再開しましょう。

参考:伊藤病院
http://www.ito-hospital.jp/04_treatment/01_2medicine_qa.html

副作用! 太る? 痩せる?


薬の効果の効果でも触れましたが、橋本病の代表的な治療薬であるチラージンSは体内にある甲状腺ホルモンと同じ成分なので副作用はないとされています。ただし飲む量が多すぎると動悸多汗手指の震えなどの症状が出ることがありますので、その時はすぐに病院へ連絡してください。重い副作用はまずありませんが、もともと心臓の悪い人は服用に際してドクターに相談が必要です。
低下していた新陳代謝が薬の効果で元に戻ることで、むくみが解消し橋本病が原因で増えていた体重が減っていく方も。ただしじっとしていて痩せるということではありませんので、元気を取り戻すと同時に正しい食事量と適度な運動を心掛けましょう。
チラーヂンが痩せ薬だという誤った情報が流れたこともありましたが、自己判断で薬を増やしたり減らしたりという行為は絶対にNGです。
医師の指示のもと正しい服用で元気で健康な身体を取り戻しましょう。

参考:二田哲博クリニック
http://meinohama.futata-cl.jp/thyroid/thyroid_05.html

海藻やヨードの制限

基本的には食事の制限はないのですが、ヨードの過剰摂取には気をつける必要があります。ヨードがたくさん含まれている食品は、昆布や昆布が主原料のもの・ひじき・ヨード卵・うがい薬など。とくに昆布のヨード含有量はダントツですので、出汁の国、日本では要注意。
それらを大量に摂り続けると、甲状腺機能がさらに低下してしまう可能性がありますので、普段の食事を見直してみるといいですね。

もうひとつ、喫煙橋本病甲状腺機能低下症をきたすリスクファクターです。橋本病と診断されたら禁煙に努め、身体本来のエネルギーを取り戻しましょう。

参考:高橋医院
http://www.hatchobori.jp/blog/lefty/cat1/cat111/

食事を見直してダイエット

甲状腺の機能低下により新陳代謝も低下してしまい、むくみ体重増加に悩まされる方は多く、治療したからすぐに元に戻るというわけではありません。
治療がスタートしてもすぐに変化があるわけではないため、急な食事制限や激しい運動は疲れやすさに拍車をかけてしまうかもしれません。
血液検査にて数値が安定し、薬の量も定まったころからゆっくりとダイエットを始めるのが望ましいですね。
高たんぱく・低カロリーで、食物繊維やビタミンを意識した食生活にシフトしていき、ムリのないダイエットを楽しみましょう。

次のコラムでは、実際に私が経験してきた「橋本病の体験記」をご紹介します。
これから妊活~妊娠~出産に臨むみなさんに同じ思いをさせないためにも、私の辿った道のりを書き綴ります。
ぜひご一読くださいませ。
「私の橋本病体験記」

第1弾コラム「橋本病(=慢性甲状腺炎)と妊娠」はこちら。
「橋本病(=慢性甲状腺炎)と妊娠」
第2弾コラム「橋本病の症状」はこちら。
「橋本病の症状」
第3弾コラム「橋本病って何科を受診するべき? 内科? 婦人科?」はこちら。
「橋本病って何科を受診するべき? 内科? 婦人科?」

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