切迫早産とは


妊娠37週0~41週6日までの間の出産を「正産期」といいます。
それより早い妊娠22週0日~36週6日までの出産早産と呼び、早産になりかかっている状態を「切迫早産」といいます。

お腹の張り出血破水などの症状が出る場合もあれば、まったく自覚症状なしで妊婦検診に行ったらそのまま入院になってしまう場合もあるため、正産期に入るまでは誰しも油断はできません。
できる限り37週を超えるまでお腹の中に留めておけるように、定期的に妊婦検診を受けて早産の兆候がないかを診ていく必要があるのです。

子宮口の状態や子宮頚管長によっては、赤ちゃんに危険が迫っているかもしれません。いつもと違う強いお腹の張りを感じたらムリせずかかりつけ医に連絡するようにしてください。

参考:めぐみクリニック
http://www.megumi.or.jp/sanka/sanka06.html

   

切迫早産の原因は?


早産は妊娠全体の約5%に発生し、年々増加傾向にあるため安定期に入っても注意深く観察が必要です。主な原因は感染体質によるもので、母体側原因子宮内原因の2つに分けられます。

   

【母体側要因】

① 絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)
膣内の常在菌が増殖し炎症が“子宮頸部”まで進むと子宮収縮が起き、お腹が張る・子宮口が開くなどの早産の兆候が見られます。

② 子宮頚管無力症(しきゅうけいかんむりょくしょう)
通常4cm程度の長さを保ちつつ出産まではしっかりと閉じているばずの頸管が、陣痛を伴わず開いてしまう病気です。体質的に子宮頚管の筋組織が弱く、頸管がやわらかいのが要因と考えられています。
胎児が大きくなって子宮口に負担がかかるようになるころ、痛みもなく子宮頸管や子宮口が開くことで早産の原因となってしまうのです。

③ 合併症(妊娠高血圧・糖尿病など)
妊婦の約20人に1人の割合で妊娠時に高血圧を発症してしまいます。
また体重の増減に関わらず高血糖状態になる“妊娠糖尿病”も増えており、どちらも早産のリスクがあります。

④ 子宮の異常(子宮筋腫・子宮奇形)
女性の5%ほどは、生まれつき子宮の形に異常があり、形によっては早産の原因になることがあります。
子宮筋腫を抱えての妊娠も、個数・大きさ・場所によっては妊娠経過と合わせてしっかりと診察していきます。

   

【子宮内原因】

① 多胎妊娠
2人以上を同時に妊娠すること。母体にも胎児にもリスクが大きいので慎重に診ていく必要があります。

② 羊水の異常(過少、過多)
胎児を保護する液体の羊水が、なんらかの現象で増えすぎたり減り過ぎたりすると早産の危険性が出てきます。

③ 前置胎盤
胎盤が正常より低い位置に付着し、子宮の出口を覆ってしまっている状態です。無症状なのでエコー検査で発見しない限りわかりません。胎児への血液循環や酸素提供も低下してしまうので、危険な状態になってしまいます。

上記にあてはまらなくても、高齢出産喫煙者はリスクが上がるといわれています。
年齢はどうすることもできませんが、自力で取り払えるリスクはすべてなくしたいものですよね。
タバコを吸っている方は思い切ってやめる。加えてお産を控えて身体はとてもデリケートな状態です。妊娠中の性交はクラミジアなどの感染症を防ぐためにもコンドームをつけるようにしてくださいね。

参考:小坂産病院
https://www.kosaka.or.jp/contact/qa.html

参考:日本産婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=2

   

お腹の張り?痛み?切迫早産の症状は?

切迫早産の症状は、子宮収縮によりお腹が張る下腹部痛・腰痛・出血・むくみ・発熱・破水などです。
症状もさまざまながら、痛みの有無や感じ方も個人差が大きいので、どの症状が切迫早産なのか自分で判断することはできません。
定期的な妊婦検診に加え、定期的なお腹の張りが続く場合や急におりものが増えた時など、いつもと違う感じがあるようでしたら受診するようにしましょう。

定期健診のエコー検査で毎回計測している「LCC:子宮頚管長」が3cm未満になったり、子宮の出口である子宮口が開いていたりすると、すぐに早産予防の処置が必要です。

子宮頚管の長さが2cmを切ると、“即入院”となる場合がほとんど。いつもの定期健診に行ったきり、救急車で大きな病院へ運ばれて出産まで入院…となるケースも少なくないのです。
正産期に入る前に赤ちゃんが降りてきた感覚があったり、子宮が頻繁に硬くなる陣痛のような痛みを感じたら迷わずにかかりつけ医に連絡してくださいね。

切迫早産の症状には、“自覚できるもの”と“自覚できないもの”があり、誰しもに起こる可能性があると覚えておくことが大切ですね。

参考:HONDA LADY’S CLINIC
http://www.mediqube.com/honda-lc/usr/pc/faq.php

   

切迫早産と言われたら

主な治療は下記の通りです。

   

安静

とにもかくにも安静です。自宅安静といっても家事制限くらいの軽いものから、トイレ以外寝たきりの重度なものまでどの程度かの判断が難しいですよね。お風呂はシャワーのみなのか食事の制限はあるのか…など、どれくらいのレベル動いてはいけないのかわからないという方は、はドクターにしっかり質問しましょう。

   

子宮収縮抑制剤の投与(内服および点滴)

子宮収縮を抑える目的で子宮収縮抑制剤(ウテメリン)を投与。お腹の張りや痛みをとり、早産の進行を抑えてくれます。軽度なら内服、重度なら入院して24時間点滴の生活になってしまいます。人によっては動悸や頻脈、手の震えや吐き気などの強い副作用が出る場合がありますが、赤ちゃんを守るために必要な治療です。

   

抗生剤・膣洗浄

炎症を抑える必要があるときは、膣剤の挿入やイソジンを希釈した液体での膣洗浄を行います。

   

漢方療法

子宮筋の緊張や下腹部痛には「当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)」「芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)」、出血がある場合には「きゅう帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)」など、症状が軽い場合は漢方薬で緩和できる場合もあります。

   

子宮頸管縫縮術

読んで字のごとく、“子宮頚管を縛る”手術です。
内子宮口に近いところを縫うシロッカー手術と、膣粘膜切開を加えずに縫うマクドナルド手術があります。

すぐに治療が必要な目安は、“子宮頚管長の長さが3cmを切る”こと。
医師から「すぐに入院するまでもないけれど自宅にて安静に」と言われても、上の子がいて難しい・・・という方は、家族や友人、地域のサービスなどに手を借りてできるだけゆっくりしてください。

参考:日本臨床漢方医会
http://kampo-ikai.jp/faq/obs9/

参考:和歌山県立医科大学
http://www.wakayama-med.ac.jp/med/sanfujinka/contents/sanka/seppakusouzan.php

   

入院したら費用は? 保険は?

切迫早産と診断された瞬間からそのまま出産まで入院…となり、2〜3ヶ月の入院を余儀なくされるケースも珍しくありません。
お腹の赤ちゃんの心配に加え、入院費などの金銭的な不安も膨らみますよね。突然の入院で自由を奪われたうえに、一日も長くお腹の中に留まって欲しいと願いながらの24時間の点滴。経済的不安はできるだけ取り除いておきたいものです。

切迫早産の場合、医療費や入院費用は健康保険の医療保険適用となります。病気などと同じ扱いとなるので、一般的に3割の自己負担です。
入院・治療費は民間の医療保険の対象となる場合がほとんどですので、妊娠を望む段階で自分の医療保険の内容を確認しておくと安心ですね。

意外と知らない方も多いのが“高額療養費制度”。
医療費の負担額には上限がありますので、市役所や病院の入院説明カウンターなどで説明を聞き素早く発行するようにしましょう。

働くママの強い味方“傷病手当金”とは、傷病が原因で休業し賃金が払われないときに受け取れる休業手当のことです。
4日以上のお休みが必要となった場合から申請が可能で、標準報酬月額の3分の2が支払われます。入院だけでなく自宅療養の指示が出ても申請できますので、担当医に相談しましょう。

忘れてならないのが、“出産育児一時金”です。
切迫早産でも出産の際は同じように受給できますので、赤ちゃんが生まれたら申請手続きをしてくださいね。

出産育児一時金についての記事はこちら。
「出産育児一時金で出産費用は安心? 適用条件をチェック」

   

切迫早産で赤ちゃんへの影響は?

34週を目標に切迫早産の治療をしていきますが、それより早く生まれたらどんなリスクがあるのでしょうか。

まず気になるのが出生体重です。
切迫早産の場合、2,500g未満の“低出生体重児”で生まれる傾向にあり、低体重であるほど赤ちゃんの健康リスクに影響します。

また、30週未満で生まれた場合は、網膜や肺などの器官が形成途中の可能性が出てくるようです。

体重が2,000gを超えているか、30週を越えているか、がひとつの目安となり、臓器形成や自発呼吸の有無が決まってきます。

医学の進歩のおかげで妊娠28週以降に生まれた子や、出生体重が1000g以上の赤ちゃんの95%が生存できる時代となりました。
早産で生まれても一般的には2歳までに身長や体重が平均に追いつくことがほとんどです。

妊娠30週以降に生まれた赤ちゃんが慢性的な身体や発達の問題を抱えることは、非常に少ないと言われています。

   

切迫早産は繰り返す?

早産の経験がある人は、2人目も早産になりやすいのでしょうか。

長い入院生活を経て出産したママは、次の妊娠~出産を考えた時に不安になってしまうのも仕方ないですよね。上の子がいるから入院はできない、早産傾向がみられる前に子宮口を手術で縛って欲しい…なんて希望する方もいるそうです。

医療の現場でも、前回早産だった方はより注意して診ていく傾向にあります。
早産を恐れるあまり、子供を諦めてしまう女性が減りますように。
周囲の理解と協力、そしてできるだけ早く兆候を捉えて予防していく必要があるようですね。

参考:山本産婦人科
http://www.yc-tsu.jp/dekigoto/tyuki/8.html

   

切迫早産は予防も治療も可能!

早産のリスクを考えすぎて不安をあおってしまったかもしれませんが、切迫早産は予防できるということを知っておいて欲しいのです。
予防・治療と言っても特別なことをするのではなく、実は一番大切な治療は「寝ころがって子宮頸管の負担を軽減すること」なのです。

日常生活の何気ない行動の中には、想像よりたくさんの負担がかかる動作があります。
赤ちゃんが最優先。お腹の張りや出血があるときは即座に心を切り替えて、動かないことを頑張ってください。

“安静”とひとえに言っても簡単ではありません。
こんな時こそ家族の結束が一番大切ですよ。
命をはぐくむ身なのですから、甘え上手に徹してくださいね。

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